肛門科医のつぶやき

2017.06.28更新

時々、「あなたの病気は内痔核ですよ。」と言われると、何の症状がなくても「自分は内痔核を持っているんだ。」と思っている方がいらっしゃいます。

女性の方で出産の時に肛門が腫れて痛くなって「痔になった。」とおっしゃる方で、なんの症状もないけど、出産後ずっと「痔」を持っているんだ。一度「痔」になったら治らないんだと思っておられる方がいらっしゃいます。

そんなことは、ありません。必ず肛門の病気は症状がでます。何の症状もなく、いきなり悪くなっていることはありません。

ですから、肛門に何の症状もなく、肛門のことが気にならない時は、「自分は治っているんだ。」と思ってください。

例えば、内科の病気ですと、自分が気が付かないうちに病気が進んで、「何かおかしい。」と思って診察を受けたときに、「血圧が高くなっていますね。」とか、「肝臓の具合が悪くなっていますね。」という風に、自分が気が付かないうちに病気が進んでいる場合があります。でも肛門の病気は、必ず症状がでます。出血するとか、痛みがある。また肛門が腫れてくる。違和感がある。など必ず症状が出ます。悪くなる時も、出血した。出血が頻回になる。また出血の量が増えてくる。また、痛みがでた。痛みがだんだん強くなる。など、症状がでて、さらに病状が進むと、その症状が強くなってきます。こういったように、必ず肛門の病気は症状がでて、病状の悪化とともに、症状が強くなってきます。ですから、逆に出血や痛みなどの症状がない時は、肛門の病気は治っているということです。

内痔核を例にあげます。内痔核の最初の症状は、排便時の出血や肛門の違和感です。この段階を第Ⅰ度の内痔核といいます。病状が進むと、今度は排便時に出血するだけでなく、排便時に内痔核が外に出てくるようになります。でも自然に中に戻ってくれます。この段階を第Ⅱ度の内痔核といいます。さらに進むと、排便時に内痔核が外に出てきて、出たままの状態になり、指で押し込まないと中に戻らなくなります。この段階を第Ⅲ度の内痔核です。一番具合が悪いのは内痔核が外に出たままで戻らなくなる状態になります。この状態を第Ⅳ度の内痔核といいます。

このように、内痔核は第Ⅰ度から第Ⅳ度へとだんだん悪くなっていきます。なんともなかったところから、いきなり第Ⅲ度や第Ⅳ度にはなりません。

ですから、肛門の病気は必ず症状が出ます。何か気になることがあれば早めに受診して、しっかり治してしまうことがいいと思います。またしっかり治して、肛門の症状がなにもない時は、もう治ってしまったんだと思ってくださいね。

投稿者: 渡邉医院

2017.06.24更新

先週の土曜日(6月17日)に近畿肛門疾患懇談会の世話人会議と懇談会がありました。

3時から世話人会、それに引き続いて4時から懇談会がありました。今回で109回目になります。

今回のテーマは「皮膚病変を伴う肛門疾患」でした。肛門科の外来では、「肛門がかゆい」とか、「肛門にぶつぶつができた。」とか、肛門周囲の皮膚の病気や症状を訴えられてこられる患者さんは多いです。今回の懇談会では、そういった皮膚病変の写真を多く見せていただき、とても勉強になりました。一回みたら忘れられない病変。似たような皮膚の症状や形態をしていても違う病気。など、やはり数多く見るということはとても大切なことだと思います。

私も昔、肛門の皮膚炎で痒くなったことがあります。私は小さい時からトイレのあと、ごしごしトイレットペーパーで何回も拭いていました。私の皮膚炎の原因はこれで、このことを注意して、軟膏をつけたら良くなり、ぶりかえしていません。肛門がかゆくなる原因の多いものには次の四つがあります。

1)入浴した時に石鹸でタオルでごしごし洗う。

2)私のようにトイレットペーパーでごしごし拭く。

3)最近多いのが、洗浄便座の温水で強く洗う。

4)消毒してしまう。

この四つが多い原因です。三つ目の洗浄便座で強く洗うことですが、強い水圧で肛門を洗うことで、肛門に傷がついたり、直接肛門に温水が強くあたると、肛門の中に温水が入っていってしまいます。入った温水はあとから出てきて、肛門がただれたり、洗ったつもりが逆に汚れたりしてしまうことがあります。洗浄してもいいのですが、あまり強く洗わず、さっと洗ってトイレットペーパーで軽くふくがいいのではないかと思います。

私も肛門の皮膚炎になり、痒かったですが、軟膏をつけて治りました。まだぶりかえしていません。私が治るのだから肛門が痒い方はよくなると思います。

投稿者: 渡邉医院

2017.06.16更新

今、臨床肛門病学の編集委員をしています。いろんな先生方が日常の診療を通じて感じられたことや、研究されていることを論文にして投稿されます。そに論文を審査することをしています。先生方の論文を読むことで、私自身とても勉強になり、日ごろの診療に役立てようと思うことが多くあります。

私も論文を書いて投稿しますが、とても勉強になります。自分の書いた論文が雑誌に掲載されることはとてもうれしいことです。でもそれ以上に投稿した論文を審査してくださる先生方とのやり取りが、一番勉強になります。自分の考えていたことに対して新しい視点や、違った方向からアドバイスをいただいたり、私の書いた論文に関連した論文を教えていただき、それをもとに自分の論文をさらに深めることができます。この先生方とのやり取りが一番勉強になります。

また毎年11月に日本大腸肛門病学会があり、必ず学会発表をしています。肛門科専門に診療をしています。1年間の診療で感じたことなどを、やはり報告しなければならないと思っています。渡邉医院を受診していただいた患者さんの診療を通じて、わかったことを今後の診療に役立てる意味もあります。

学会ではいろんな先生の発表をきくことで、日常の診療に役立つことが多く、学会に参加することもとても勉強になります。

今後も日頃の診療を通じて、多くの先生方に知っていただきたいことなどを、論文にしたり、学会発表をしていきたいと思います。

投稿者: 渡邉医院

2017.06.04更新

前回は、父が私に語った言葉を紹介しました。今回は母が私に教えてくれた素敵な言葉を紹介します。

母は5月で83歳になりました。今でも毎日診療所にきて受付をしています。年齢的なこともあってできる仕事の範囲は限られてきていますが、患者さんや職員に助けてもらいながら、まだまだ現役で頑張っています。そんな少し弱った母をみると、自分の弱さにも気が付きます。「母親にこんなに頼っていたんだ。」ということも感じます。でも、相手の弱さをみて、自分の弱さにも気が付いたとき、優しさをもらうことができたと思います。

そんな母が教えてくれた素敵な言葉は、

「ひとりでみる夢は、夢でしかない。みんなでみる夢は現実になる。」

です。

一人一人が同じ夢に向かって一つになること。同じ方向を向いて進むことで、夢は現実になるんだと思います。自分の思い描いている夢、それに共感して、ともに進んでくれる人たちと一緒に、夢を現実にさせたいと思います。

投稿者: 渡邉医院

2017.06.03更新

「目の前にいる、一人一人の患者さんをしっかり治していけばいい。」

この言葉は、父が私にくれた言葉で、私にとって一番大きな影響を与えた一言です。

22年前の11月、私の父が脳梗塞で倒れ、急遽東京から帰ってきて渡邉医院を引き継ぎました。

京都に帰ってくるまでは、日本大学の第三外科に所属していて、救命救急センターに勤務していました。

突然の父の病気、そして渡邉医院の継承。いろんな面で私には焦りや不安がありました。「このまま渡邉医院をしっかり引き継いでいけるだろうか?」、「私になって、患者さんが来てくれるだろうか?」などなど。

そんな私の姿をみて父が私に語ってくれたのがこの言葉です。「焦ることはない。目の前にいる、一人一人の患者さんをしっかり治していくことが一番大切なんだ。そのことをしっかり行っていれば、必ず患者さんはきてくださる。」と。

この言葉を聞いて、ハット目が覚めた思いがしました。何かの時はいつもこの言葉を思い出しています。

目の前にいる患者さんをしっかり治していく。当たり前のことですが、一番大切なことだと思います。「どこがどのように悪いんだろう。」、「それを治すには、どういった治療が一番その患者さんに適しているのだろう。」。としっかり診察し、治療をしていくことで、どういった検査がひつようなのか、どういった治療方法や技術が必要なのか。そういったことを一人一人、日々しっかり考えていくことで、医療は進歩していくのだと思います。

この父が私に語った言葉をしっかり胸に抱いて、これからの診療も続けていこうと思います。

投稿者: 渡邉医院

TEL:075-441-4303